カツカレーが好きです。
が。
林修がカツカレーを酷評することにも、一定の理解は示しているつもりです。
林修はカツカレーを酷評する論拠として「とんかつとカレー、どちらも一流な店はない。どちらかが二流になって結果として1+1が2にならない」というものを挙げているようです。美食屋気取りがよ……。
ゴーゴーカレーが好きな自分ですが、実際自分もカツカレーを優れた料理として好きなわけではなく「カツカレー」という属性を好んでガッツリ感を味わうために食べている節があるのは事実です。刺身の品質にかかわらず「海鮮丼」という料理をありがたがる人種や、チェーン店の資本系家系ラーメンを「家系」という属性で楽しむ人種と同じ感覚です。
ですが自分が考えるカツカレーの弱みは林修とは違います。林修の理屈だととんかつの鉄人とカレーの鉄人が協力すれば素晴らしい料理になると言っているので。
いざ冷静に考えてみるとカツカレーって一つの料理になっていないんですよね。
第五百三十六話でも書きましたが、自分は食事に関して「融和」というものを重要視しているらしく、唐揚げや刺身は米との融和度が低いからおかず適正が低く、おかず適正が高いのは米との融和度が高いタレを帯びたものであるということを書いた気がします。
カレーというものは「固」である多くの具材を煮込むことで固の輪郭が融和した存在、「カレー」になり、米と絡んで融和し、「カレーライス」になる。つまりカレーライスは液体的な融和をしているわけです。
しかし、カツというものはあまりに固体で、カツカレーのカツはカレーライスと一緒に食べるにはあまりに固く、あまりに大きいんです。
カツカレーにはどうしても「カレーがかかったカツ」を食べるフェイズとカレーライスを食べるフェイズが存在するんです。カツをスプーンやフォークで切ろうにも固く、自分は一塊のものをかみ切ってまた皿に戻すのがあまり好きではないので基本的にカツカレーのカツは一切れ=一口です。
ここで、一つの主張をします。
カレーに乗せるべきは一枚肉のカツではなく、コロッケとメンチカツである。と。
カレーと揚げ物を一緒に食べるのがうれしいのは人類の本能的にそうで、それを自分の考えるカツカレーの弱点を克服しながらかなえる場合、ベストはコロッケとメンチなんです。
しかも、専門店の「うわーすごいサクサク!」みたいな本格的なものではなく、スーパーのお惣菜コーナーにいるくたびれてしんなりしたコロッケがベストなんです。スプーンで簡単に切り崩せるコロッケが。
メンチカツにしても、「つなぎ不使用の肉肉!」みたいな本格的な奴はハンバーグみたいに少し硬いので、つなぎがたくさん入ったやる気のないメンチカツが理想です。
そういうメンチカツやコロッケならば、メンチカツとカレー、コロッケとカレーではなく、「メンチカツカレー」「コロッケカレー」を名乗ることができるんです。
皆さんも「カレーになにかトッピングしたいな」とおもったら、一度試しにとんかつではなくコロッケやメンチカツを載せてみてはいかがでしょうか?
次回 未定。