メンヘラ日記

ファッションメンヘラ

第六百七十三話 そろそろ怪物の話を

怪物を観まして、もう話してもいいでしょう。

ネタバレを含むわよ!!

怪物 : 作品情報 - 映画.com

賞の箔でハードル上がってましたけど良かったですね。

ホラーだと思われて興行伸びてないの、惜しすぎる。

 

最近よくあるそれぞれの視点の食い違い系で、ラショーモンアプローチって書かれたりしますね。ただ個人的な感想はちょっと違いますね。去年の母性とかは羅生門と同様、それぞれの主観マシマシで事実すら不明なんですが、今作はきちんと一つの真実があって、それの断片の齟齬みたいなのがおもしろいです。

 

とにかく子役ふたりが最高でしたね。この子達の視点が答え合わせ的な扱いなんですけど、小学校高学年の発達途中の自我とか自意識、不器用な部分がいろいろと良くない方向に転がっていくわけですが、主人公の息子がもう一人の子に対してまだ名前を付けられない感情を持っていくのが本当にいい。「好き」という言葉を使ってはいるけどそれが正しいのかもまだ迷ってる感じがすごくいい。多分海外で評価されているのはそういうマイノリティ部分もあるんでしょうけど、彼等はまだ己のセクシュアリティとかを断定する歳ではなく、ただ同性のクラスメイトになんだか特別な感情を抱いてしまうというその事象だけを見せられてよかったです。すごく真摯だと思う。これで「主人公はゲイ!」っていうのは少し違うと思う。

 

最後に二人は台風のなか山奥の秘密基地に行って、親と先生が追いかけてみると土砂崩れの下敷きになった秘密基地。でも二人はもう抜け出していて原っぱを駆け回るっていう終わりです。

自分は死んだ解釈派なんですが割と普通に抜け出してる説があったり、それぞれの発言の真意も複数解釈を残す部分が多くて、まあそういう人間関係の多面性、歪さを描きたいっていう王道のものだけど押し付けがましくなくてよかったです。是枝監督はとにかく「家族とか血のつながりの妄信」を否定したくて仕方がない感があっていい。

ただ、「結局、怪物は誰?」みたいなタイトル回収で「怪物は事実を歪めて見てる観客のお前~~」みたいなのは透けて見えてダル~とは思いました。

 

こういうのって探せばいくらでも「これはこれのメタファー」「この発言はここの感情」みたいな考察が出てくるんですけど、こういう多面体な映画はその各面を詳細に見ようとするよりも「多面的だなぁ」ってぼーっと見る方が好きなんですけど、それは評論ではないのでブログにしづらい映画の見方をしています。

 

すごくとっ散らかった文章。「意味が通るように段落を並び替えましょう」の問題みたいな文章になった気がするので、それぞれ並び替えてみて読んでみましょう。

 

 

次回 未定。